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過去デリットイラストhp用 2.png

海に沈んだはずの意識は、暗い深海の底でゆっくりと揺れていた。

終わったはずだった。
すべて消えるはずだった。

なのに、私は消えなかった。


……実は、
ミアという者を見たときに少し頭が割れそうだった。


あの感覚の正体を、私は知っている。

……私が殺害した、私の愛する奥さんの子供なのだから。
家族を手にかけたあの日。

最後に見た光景。

奥さんが抱えていたのは、そのまだ赤ちゃんだった頃のミアだった。

泣いている悲鳴をあげ、小さな体を震わせていた。

そのミアを見て、
あまりにも可愛くて初めて涙脆くなってきて、
私は抱きしめた。

「……なんてかわいいの…。そんなにかわいいの……」

に濡れた手で。

あれが、我が子への愛を知ったきっかけだった。



……家族の宗教が原因で、私が嫌いだった“天使”が、
いつの間にか私になってしまった。
とても気に食わなかった。

私は正義になどなりたくない。

救う側など、似合わない。

だから堕ちることを選んだ。

天使になったデリットは天使たちを殺害してしまった。
でも、楽しくて止まらなかった。

たまらなかった。
天使なのに奇行な行動でやっていた。

最高な瞬間だった。


暴れを落ち着いた後、
天使たちは私を連行し、右足を切断し、上から堕とした。

でも、それでいいんだ。
私には天使は似合わない。

そう、悪魔になりたいんだよ。



「…感謝します❤︎


堕ちた先で、私は悪魔になった。
悪魔の規則”を破る者に、容赦ない罰を与える役目。
人間であろうと悪魔であろうと、忠告を無視すれば確実に痛い目を見る。
他者を虐め、弄ぶことが好きだ。
恐怖に歪む顔を見ると愉悦を覚える。

だが同時に、己が壊れる瞬間にも興奮する。
苦痛や極限の高まりで、私の姿は異質に変化する。

それでも、
酒居屋では穏やかな仮面を被る。
本性は完全には隠しきれないが、それでいい。

誕生したばかりのテルさん。
世界一可愛かった
私はテルさんのことを我が子と言っている。

だが正確には自分の子供というわけではない。
テルさんは、
親が産んだのではなく、嫉妬と憎悪で作られた魂の“悪魔”だから。

あの時は私が悪魔になったばかりだった。
女王からの依頼でテルさんをお世話することになった。
あれは、運命の出会いだった。

おとなしくて、とても可愛くて。
喜ぶときや甘えるときには尻尾が振られて。
この可愛さで魔王になるとか、本当にとても可愛い。

ちゃんとした魔王になるようにお世話して、育ててあげていた。
少し大きくなって、
私のことを甘えてくれたり、口づけしてくれたり……
私は時々思う。

あのとき抱きしめた赤子の温もりを、どこかで重ねているのではないかと。

ミアの記憶は、私の能力で消してある。
父であったことも、
すべて。

それが救いなのか、罰なのかはわからない。

私は今日も仮面を被り、「デリットの酒居屋」で微笑んでいる。
天使を憎み、
神を嗤い、
悪魔として規則を裁きながら。

それでも——

子供を愛してしまうこの感情だけは、どうしても消せないまま。

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